「ヘテロ核酸」の最初の論文がNature Communicationsにonline publish

当分野で進めてきました「ヘテロ核酸」の最初の論文がNature Communicationsに8月10日にonline publishされました。

http://www.nature.com/ncomms/2015/150810/ncomms8969/full/ncomms8969.html

そのpublicationに先立って、8月7日に東京医科歯科大学で、論文のプレスリリースが科学技術振興財団(CREST)ならびに日本医療研究開発機構(AMED)との合同発表の形で、引き続いてヘテロ核酸の臨床応用を目的にした東京医科歯科大学発のバイオベンチャー、「レナセラピューティクス株式会社」(以下レナ社)のプレスリリースが医科歯科大、産業革新機構、レナセラピューティクス株式会社の合同で発表されました。

ヘテロ2本鎖核酸は、我々と大阪大学薬学部の小比賀聡教授との共同発明で、既存の核酸医薬のであるアンチセンス核酸、siRNAを超える有効性をもつ第3の核酸医薬であり、次世代分子標的薬の構図を塗り替える基盤技術になる可能性を秘めています。本研究は我々が遺伝子治療研究を始めて16年目に達成した結果であり、first authorの仁科一隆先生、朴文英先生、吉田(田中)規恵さんを中心に核酸グループをあげて取り組んできた中核テーマです。医科歯科大神経内科の医局が主体となった研究成果では初めてのNatureと名がつく記念すべき論文発表で、仁科先生、朴先生、吉田さん3名の多大の努力と栄誉を称えたいと思います。

ヘテロ核酸はその顕著な有効性に加えて、従来困難であった肝臓以外の腹部臓器や神経系の遺伝子制御を可能にする分子技術で、約10の知財特許プールとして本学産学連携本部によってその知財は管理、確保され、その臨床治験への橋渡しとして「レナセラピューティクス株式会社」が創設されました。レナ社は医科歯科大発では4番目のバイオベンチャーで、診療科からは初めてになります。

ヘテロ核酸は、現在、CREST、革新的バイオ、特別推進など大型グラントをふくむ12に及ぶファンディングを受けており、AMEDからは医科歯科大学を核酸医薬創薬の拠点研究機関に指定され(日本に2か所)ました。それを受けて大学からは大きな研究スペースを核酸医薬研究専用を用意していただき、他分野からの研究参加も会い次いでいて、大きな社会的責任を負っています。その期待に応えるべく、脳梗塞やパーキンソン病、脊髄小脳変性症、ALSなどの神経変性疾患の根本治療としての臨床応用を目指して、抗体医薬に対抗する次世代分子標的薬の基盤技術として医科歯科大発、日本発の創薬研究の中核になれればと思ってます。

(横田隆徳)