うれしいお知らせ

東京医科歯科大内のイベントである第14回CBIR若手インスパイアシンポジウムで、尾崎心先生の「脊髄小脳失調症34型の神経病理:脂肪酸伸長酵素ELOVL4異常による神経グリア変性」の発表が教員部門の最優秀発表賞を受賞されました。

本研究は、これまで同門の多くの先生方の御尽力御指導により解析・同定された脊髄小脳失調症34型の石川欽也先生、内原俊記先生との世界で初めての神経病理報告です。橋底部の神経喪失や横走線維の変性といった臨床ともよく合致する所見に加え、白質の空胞病変や、関連性について今後検討されるべき4リピートタウオパチーといった意外で興味深い所見が明らかになりました。ここに至ったのは同門の多くの先生方(特に横須賀共済病院脳神経内科)の御尽力の結実と考えております。本研究はActa Neuropathol Communに最近出版されました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34689836/


また、同シンポジウムで大学院生の大原正裕先生が永田哲也先生、原倫太朗先生と行った研究「Cationic oligopeptides enhance the therapeutic potential of ligand-conjugated DNA/RNA heteroduplex」の発表が学生部門の優秀発表賞を受賞されました。

我々が開発したDNA/RNAヘテロ二本鎖核酸は従来のアンチセンス核酸と比較して優れた遺伝子抑制効果を発揮することを報告してきましたが、高用量で全身投与した際に急性の毒性が見られることがありました。本研究ではヘテロ核酸にカチオン性のペプチドを結合させることで、有効性を保持しながら毒性を軽減することを示し、特許を出願しました。今後の臨床応用が期待されます。

同門として尾崎先生・大原先生の受賞を喜びたいと思います。

横田隆徳

うれしいお知らせ

西李依子先生、大谷木正貴先生と永田哲也先生はDNA/RNAヘテロ核酸の全身投与(静脈内・皮下投与)により、神経免疫疾患の中枢神経系において活性化されるミクログリア・中枢神経浸潤マクロファージの内在性遺伝子を制御することを証明しました。ヘテロ核酸の送達機構としてマクロファージスカベンジャーレセプター1が関与している事を発見しました。さらに、多発性硬化症モデルの実験的自己免疫性脳脊髄炎マウス(EAEマウス)でミクログリア・マクロファージ上に発現し神経炎症の促進に関与するCD40遺伝子を標的とするヘテロ核酸をEAEマウスに皮下投与すると、CD40の発現が抑制され、臨床スコアが有意に軽症化するこ
とを示しました。この研究結果はMolecular Therapy(IF=11.454)に掲載され、医科歯科大学からプレスリリースしました。
https://www.tmd.ac.jp/press-release/20220401-1/
活性化ミクログリア・中枢神経浸潤マクロファージを制御できれば、神経免疫疾患のみならず神経変性疾患など広範な疾患を治療対象として応用することが期待できます。

横田隆徳